カナダにおけるCommercial General Liability Insurance (CGL)、日本語で「商業総合賠償責任保険」は、事業活動を行う上で発生する可能性のある、第三者への身体障害、物的損害、および人身傷害(名誉毀損、中傷など)に対する賠償責任を包括的に補償する保険です。カナダ、トロント、カルガリー、バンクーバーをはじめ、オンタリオ州、アルバータ州、BC州で事業を営む上で、予期せぬ事故や訴訟から事業を守るための非常に重要な保険となります。
CGLの主な補償範囲は以下の通りです。
1. 身体障害(Bodily Injury): 事業活動、事業所の所有・管理・運営、または事業者の従業員の行為によって第三者が負傷した場合の賠償責任を補償します。これには、治療費、逸失利益、精神的苦痛などが含まれます。例えば、顧客が店舗内で転倒して怪我をした場合や、従業員が顧客の自宅で作業中に誤って怪我をさせてしまった場合などが該当します。
2. 物的損害(Property Damage): 事業活動、事業所の所有・管理・運営、または事業者の従業員の行為によって第三者の所有物に損害を与えてしまった場合の賠償責任を補償します。これには、修理費用や交換費用などが含まれます。例えば、従業員が配達中に誤って他人の車に衝突してしまった場合や、事業所の火災が延焼して隣の建物に損害を与えてしまった場合などが該当します。
3. 人身傷害および広告傷害(Personal and Advertising Injury): 事業者の広告活動や広報活動、または従業員の行為によって第三者の評判や権利を侵害した場合の賠償責任を補償します。これには、名誉毀損、中傷、著作権侵害、プライバシー侵害などが含まれます。例えば、競合他社を中傷する広告を掲載して訴えられた場合などが該当します。
CGLの重要な特徴:
- 包括的な補償: 上記のように、身体障害、物的損害、人身傷害という、事業活動における主要な賠償責任リスクを幅広くカバーします。
- 訴訟費用の補償: 賠償責任を問われる訴訟が提起された場合、保険会社は損害賠償金の支払いだけでなく、弁護士費用や裁判費用などの訴訟費用も補償します。これは、高額になりがちな訴訟費用を事業者が負担する必要がなくなるため、非常に重要な補償となります。
- 事業規模や業種に応じたカスタマイズ: 保険金額や免責金額、特約などを事業の規模や業種、リスク特性に合わせて調整することができます。
- 契約上の責任もカバー: 事業者が契約によって負うことになった賠償責任も、一定の範囲内で補償される場合があります。
CGL加入の重要性:
カナダで事業を行う上で、CGLへの加入は非常に重要です。なぜなら、予期せぬ事故や訴訟はいつ発生するかわからず、その損害賠償額は時に事業の存続を脅かすほど高額になる可能性があるからです。CGLに加入していれば、万が一の事態が発生した場合でも、保険金によって経済的な負担を軽減し、事業の継続を守ることができます。
また、多くの契約や取引において、CGLへの加入が義務付けられている場合があります。顧客や取引先から保険加入証明書の提出を求められることも少なくありません。
注意点:
CGLは広範なリスクをカバーする保険ですが、すべての損害を補償するわけではありません。例えば、故意による損害、従業員の労働災害、専門職賠償責任などは、一般的にCGLの補償対象外となります。そのため、事業の内容に応じて、別途適切な保険(労災保険、専門職賠償責任保険など)に加入する必要があります。
カナダで事業を成功させるためには、CGLをはじめとする適切な保険への加入を検討し、万が一のリスクに備えることが不可欠と言えるでしょう。保険会社や保険ブローカーと相談し、自社の事業に最適な保険プランを選択することが重要です。
ここに掲載されている内容はあくまでも概略参考資料であり、正確性を保証するものではありません。すべての補償内容の詳細は、個々の保険約款に基づきます。